
友人の西村佳哲氏に誘ってもらった「ここはどこなんだろう?会議」at 博多に
出席してきました。トータル7〜8時間、4名の話し手+ファシリテーター
(ま、案内役ですね)の西やんを中心に、百数十名のあちこちで活躍している、
そして福岡に関わりがあったりする方たちが集いました。
地形からみえる福岡、世界的な統計からみえる福岡、里親支援など福祉の面からみえる福岡、そしてアクロス福岡や、現代の町家の設計をされた田瀬理夫さんの地方で生きていくことのお話など。いろんな視点と考察を交え、政治経済のモノサシではないもっと生物学的で実際的な尺度で福岡というエリアをみてみることができた時間でした。
デザインに関わる人たちの企画だけあって、イベント全体の雰囲気がスマート!
勘違いな気負いや過剰演出や顕示欲がどこかにあると、会場の空気を狂うけど、
そういうのがなく(お祭り、じゃないしね)落ち着いた有意義な一日でした。
それは関わった人たちが日常的な問題意識をちゃんと消化しているからだと思う。
不要なものを判断できて、ちゃんと棄てているから、きれい。ああいう切り口で
あの一日をつくれること自体に、まだ希望が残されている、と思いました。
プロローグで引用された宮崎駿の言葉。
「知識や教養は力じゃないって思っているやつはずいぶん増えたけど、結局、無知なものはやっぱり無知ですからね。
どんなに気が良くても、どんなに一生懸命でも、ものを知らないっていうのは自分がどこにいるのか知らないってことですから。」
繰り返し放送させて頂きます♪
「どんなに気が良くても、どんなに一生懸命でも、ものを知らないっていうのは自分がどこにいるのか知らないってことですから。」
どんな文脈での言葉なのか調べてみると、その文の前には「学生時代に本を読まないのは勝手だけど、そのつけは全部自分が払うんだから。」というがあった。そう、本ですよ、本!本を読むと、端的にいって「言葉」を知りますね。そうすると自分の頭を使って考えるときの新しい血管のようなものが生まれるように思います。2行要っていた説明が一言で言えるようになると考えが進みますよね、そんな感じ。で、その本全体を自分のものにするには受け皿としての「経験」が欠かせないわけですが、その経験の元になるのは、個人的経験に飛び込んでみる好奇心と勇気。そして時間(年齢)も。例えば20代の人は今、山の2合目を歩いているとすると、50代の人は5合目、90代の人は9合目、みたいなものってあると思うんです。見てきた景色の量や高さの違い。個人差はありますよ、でもものごとを俯瞰できたり、洞察出来たり、意識的に想像できたりする範囲の広さや視点の高さは年齢を重ねるとそれなりに身に付いているんだな、と思うのです。その物理的な時間と、あとは質的なもの。これは年齢関係なく、辛い経験とか、大失敗に見えることとか、日常を超越するような体験とか、あたりまえの日々の中にどれだけの感受性でものを見れるか、そういうことを経た時に自分の意識ひとつでそれが畑の完熟堆肥のように積み重なっていった意識の土壌的なもの。土がいいと立派な作物が自然に育つように、それは大きな財産と思う。決して誰にも盗むことができない宝物。そこに種(言葉や情報)を蒔けばなんでも育つ!
本といえば、コネチカットで知り合った上海出身の聡明な友人が教えてくれたこと「読んだ本の册数を吹聴する人、本棚に並べた沢山の本を見せびらかす人は実際には何も読んではいないし、教養人でもない」という意味のことわざが中国にあるそうです(日本にもなかったっけ?)
また、かのユーミンがあるインタビューで「自分の本棚を見られることは自分の裸を見られるようなもの」だったか、「見られるより嫌だ」と語っていて、ああ本当に感受性が強い人なんだなぁ、と思ったことがあります。要するに読書という行為はとても内面的なことなのでしょう。数を読んでみえてくるものもありますが、どれだけ深く出合うか、が大切ですよね。
メインストリームの流れに同調する技術だけ学んでも生きていることにはならない。
それは脇に置いといて、自分の感覚を掘り下げていった方がはるかにおもしろい人生が展開するんだと思います。
掘って、掘って、各々の鉱脈に辿り着こう!
と、かなり話が脱線事故を起こしていますが、そうして始まった「ここはどこなんだろう?会議」、
近々、その模様がYOU TUBEでアップされるそうなので、興味のある方は(長いと思いますが)ぜひそちらをご覧下さい。
そして、この会議のもとになった西やんの、うつくしいたたずまいの新しい著書はこちら。
これからどこで、どんなふうに生きよう?ということを考える時に光の見える一冊。
「じぶんの仕事」という視点から「ひとの営み」に広がった、スマートなインテリ西やんの新境地、
ぜひ、手にとってご覧下さい。言葉の的確さ、インタビューの才能にはいつも感心、尊敬します。
まえがきとあとがきにでてくるよく柿食う家族はどこの家族だろう?笑
こんなすてきな本に書いてもらって光栄の行ったり来たりです。

本の中にある田瀬理夫さんの言葉。
「地方の風景をなんとかしたかったら、その地域の農業のあり方を見直す必要がある」
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