お店道

小さな頃からなぜか「お店」という場所が好きで、初めて

自分の店を開いたのが1993年9月だったので気がつけ

ば来年で30年。そのうち3分の1が「おくなが屋」。

 

途中、子どもが生まれたり、海外へ行ったり自分のお店を

していない時期もあるけれどそれでも結局、友だちの店

働いたりファーマーズマーケット関わったり(ああ懐か

しい!)していたから、それを含めたらお店携わり歴はけ

こう長い。というか歳をとった?

 

30年も経てば、そりゃいろいろ変わるよね、としみじみ。

当時とは世の中の仕組みも違えば、商習慣も店の掟

常識や暗黙の了解みたいものも変化してきている。

 

大量生産されているものであればなんでもボタン1つで家

に届く便利な仕組みができたから「商圏」の概念すら薄く

なった。いろいろ教えてもらった店の近くで同じ業種で独

立することや、近くのお店で扱っている同じ商品を販売す

ることなど、以前なら避けていたようなことでも今は普通

にある。

 

メーカーから商圏がかぶらないように審査されてから始め

た取引もコロナ禍以降、知らない間になくなっている。売

り上げを下げないように必死なのかもしれないし、配慮が

ないのも余裕がなくなってきているだけで悪気ではない気

がする。誰だって自分だってそういう時はある。

 

人が作ってきたルールも時代によって変化するのはあたり

まえだし、良心に背かないことであればだいたいのことは

何をしたっていい。

 

でも、そのお陰でこちらも今まで守られていたものにしが

みつくのは本当にやめようという気持ちに変化してきた。

そうして、どんどん自分にしかできない仕事に絞られていく

のも悪いことじゃない。老後(っていつからかよくわからな

いけど)はもうそうやってシンプルに暮らしていきたい。

 

 

よく1万時間の法則といわれる。その道に1万時間を費やす

ことができたら一人前になれるみたいな意味だけど、わかり

やすい目安で、確かにそんな気がする。毎日、平均5時間な

ら2000日(5年半)、8時間なら1250日(3年半)

で達成する。

 

それだけの時間を使うのはやっぱり好きなことでないとでき

ない。そしてそれを考えたら、まったくの素人で始めたこと

でも30年も経てばプロのようになっている。

 

プロというのはこの場合、利益をバンバン出せるという方で

はなくて、例えばお店に携わっている人の心と商品が合って

いなくて空気がブレていることや、店全体のエネルギーを瞬

時に感じ取ってしまうことの方。なんなら店員の体調や悩み

までもなんとなくわかってしまう。

 

これは別に特別なことではなく、音楽家でも学校の先生でも

医者でもデザイナーでも料理家でも、どんな職種だって、心

を入れてその仕事をしていれば自然にその道には明るくなっ

ているのは当然で、チャンネルがすぐ繋がるようになるのだ。

そこへアクセスするのにだいたい1万時間が必要なのだろう。

 

経験がすばらしいのは、その光は決して奪われることがなく

生きる上での勘所として生かされることだと思う。お店や商

品ははあくまで手段。目的はカタチに囚われず経験から得た

光を集めて還元していくことなのだ。